アレルギー性結膜炎(花粉症)やドライアイ、ものもらい、白内障や緑内障の治療など、日常生活の中で処方される機会がとても多い「目薬(点眼薬)」。
お子さまからご高齢の方まで幅広い年代で使われていますが、調剤薬局の窓口で患者さまにお話を伺うと、「良かれと思ってやっているさし方が、実はお薬の効果を大幅に下げてしまっていた」というケースが非常に多く見受けられます。
「しっかり効かせたいから、一度に2〜3滴たっぷりさしている」
「薬を目全体に行き渡らせるために、さした直後に目をパチパチさせている」
「複数の目薬を処方されたけれど、待つのが面倒で続けてパパッとさしている」
もしこれらに1つでも心当たりがあるなら、要注意です。
今回は、目薬本来の治療効果を最大限に引き出すための「正しい点眼方法」と、意外と知られていない「2種類以上の目薬を使う時の基本ルール」について、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
1. なぜ?目薬は「1回1滴」で十分な科学的理由
「たっぷりさした方がよく効く気がする」と、1回に何滴もさしてしまう方がいらっしゃいますが、これは医学的に全く意味がありません。
目の表面に保持できる液量はごくわずか
人間の目の表面(結膜嚢:けつまくのう)にためておくことができる涙の量は、通常で約7マイクロリットル(0.007ml)、限界まで広げても最大で約30マイクロリットル程度しかありません。
これに対し、市販や処方の点眼容器から落ちる目薬1滴の量は約50マイクロリットルあります。
つまり、「たった1滴」さすだけで、すでに目の許容量を大幅にオーバーしているのです。
何滴さしても、余分な薬液は目の外へあふれ出るか、涙の通り道から喉へと流れ落ちていくだけで、効果が高まることはありません。
こぼれた薬液は目の周りの皮膚トラブルの原因に
あふれ出た目薬をそのまま放置すると、目の周りのデリケートな皮膚がかぶれたり、色素沈着やアレルギー性皮膚炎を起こす原因になります。
目からあふれた液は、清潔なガーゼやティッシュで優しく拭き取りましょう。
2. 点眼直後の「パチパチまばたき」が絶対にNGな理由
目薬をさした直後、薬を目全体になじませようとして「パチパチ」と勢いよくまばたきをしていませんか?
実は、点眼直後のまばたきは、目薬の効果を激減させてしまう最大のNG行為です。
まばたきをするとお薬が外へ逃げてしまう
目の内側(目頭側)の上下には、「涙点(るいてん)」という涙の排出口があります。
まばたきをすると、この涙点が開閉してポンプのような働きをし、せっかくさしたお薬が目の表面にとどまることなく、涙道を通って鼻や喉へ一気に吸い込まれてしまいます。
「目薬をさした後に口の中に苦い味が広がった」という経験がある方は、まさにまばたきによってお薬が喉へ流れ出てしまった証拠です。
これでは目の病気の治療効果が得られないばかりか、お薬の成分が全身に吸収されて思わぬ副作用(眠気や血圧変動など)を引き起こす恐れもあります。
正しい点眼後の動作:目を静かに閉じて目頭を押さえる
目薬を1滴さした後は、絶対にまばたきをせず、まぶたを静かに閉じてください。
そして、目頭のやや鼻寄りの部分(涙点)を指先で軽く1分間ほど押さえます。こうすることで涙点への流出を防ぎ、お薬が目の表面にしっかりととどまって浸透します。
3. 2種類以上の目薬を併用する時は「5分以上」間隔を空ける
複数の病気や症状で、2種類以上の点眼薬を同時に処方されることがあります。
このとき、「時間がもったいないから」と1本目をさした直後に続けて2本目をさすのは絶対に避けてください。
続けてさすと1本目の目薬が洗い流される
先述の通り、目の表面にとどまる液量は1滴分で限界です。
1本目をさした直後に2本目をさしてしまうと、後からさした目薬が、先にさした目薬をきれいに洗い流してしまいます。その結果、1本目の目薬はほとんど効果を発揮できなくなってしまいます。
5分空ければしっかり吸収される
目薬の有効成分が目の表面の角膜や結膜から吸収されるには、最低でも約5分間必要です。
2種類以上の目薬を使う際は、必ず1本目をさしてから「5分以上」あけてから2本目を点眼してください。
※なお、目薬の種類(水溶性、懸濁性、油性、眼軟膏など)によって、さす順番が決まっている場合があります。基本的には「水溶性のものから先にさし、油性や眼軟膏は一番最後にする」のが原則ですが、自己判断せず薬局の薬剤師にご確認ください。
4. やってはいけない!目薬のNGな使い方と衛生管理
目薬は無菌的に製造された非常にデリケートなお薬です。安全に使用するために、以下の衛生ルールを徹底しましょう。
① 容器の先端を目やまつ毛に接触させない
点眼する際、容器の先がまつ毛やまぶた、白目に触れてしまうと、目やにや皮膚の常在菌がボトルの中に吸い込まれ、薬液全体が細菌で汚染されてしまいます。
容器の先は必ず目から少し離して点眼してください。
② 開封後何ヶ月も放置した目薬を使わない
処方された医療用の点眼薬は、防腐剤が無添加のものや極力少なく抑えられているものが多くあります。
ボトルの底に記載されている使用期限は「未開封」の場合の期限です。
一度開封した目薬は、原則として「開封後1ヶ月」を目安に破棄し、古いものを使い続けないようにしましょう。
③ 家族や知人間で目薬を使い回さない
「同じような症状だから」と、家族で目薬を共有することは大変危険です。
感染性の結膜炎などの場合、目薬を介して家族全員に感染が広がってしまう恐れがあります。目薬は必ず一人ひとりの専用としてお使いください。
5. 目薬のさし方や順番のご相談は「のばら薬局」へ
「手が震えてうまく目に入らない」「点眼容器が硬くて押しにくい」「どの順番でさせばいいかわからなくなった」など、点眼に関するお悩みはお気軽に薬局へお寄せください。
調剤薬局では、軽い力で押せる点眼補助具のご案内や、患者さまのライフスタイルに合わせた点眼スケジュールの作成、さし順をわかりやすく色分けしたシールでのお渡しなど、確実で無理のない点眼をサポートしております。
福岡市南区三宅ののばら薬局では、全国すべての医療機関からの処方箋調剤に対応しております。
お薬の正しい使い方や目薬の保管方法など、気になることがございましたら、いつでも薬剤師へお気軽にご相談ください。


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